旅程最後の日、シャモニーの空は朝から素晴らしい青空です。白い雪を被ったMONT-BLANCをはじめ自分の
足で周囲を廻って来た山群が一望できます。
朝食に集まった全員の今日の自由行動の予定を発表しあっていたら、パラグライダー体験を予約してきた
ものが２名いました。とくに予定の決めてない私も含め４名が直ぐに反応し、早速追加予約をする事になった。
４０００ｍ以上の山々を背景に大空に舞い上がるパラグライダーは周りから見ている分には気分よさそう！
でも、自分が飛ぶなんて今まで考えもしなかったが、貴重な体験が出来るチャンスなのだ。
（上の写真は一般のグライダー達で一人で飛んでいる。私達はインストラクターと一緒に飛ぶ２人乗りです。）
発進地点は海抜２０００ｍのプラン・プラで、そこまではロープウェイで上る。途中インストラクターの話では
「今朝は気流が安定しないので飛行開始が遅れたが、今は気温が上がって上昇気流が安定してきた」との
こと。
飛び立つところは２０ｍほどの暖斜面になっているがその先は垂直と云っていい程の急な崖である。緩やかな
傾斜地をランニングしているうちにパラシュートが風を孕んで飛び立つのだ。
垂直の崖から見るとシャモニーの街が遥か下に見える。
準備が出来て、パラシュートの傍に来るように呼ばれた。皮のベルト
で腰から肩からしっかりと抱えられた。ヘルメットをつけて準備完了。
「ワン・ツー・スリーで走り出せ！」「走り出したらDon'ｔ
the Stop ！」と
２回ほど注意を受ける。
「行くぞ！」の掛け声と共に一生懸命走ったが、１０ｍ程で急に前に進
まなくなってしまった。パラシュートが風を受けてブレーキが掛かったの
だ。後ろから「Go! Go! Go! 」「Don't theStop！」と叫びながら、足を蹴飛
ばされるように走らされた。
身体は前に進まないが、僅かに地に付いているつま先で夢中で走った。
そのうち足が完全に地から離れフンワリと空中に浮かんだ。
「Very Good！」と言われてやっと自分が空を飛んでいるのを実感した。
それ迄ジャンバーの胸の中にしまっていたカ
メラを取り出し、下界に広がるシャモニーの町
の風景を撮ったりした。
自分の足を入れて写せとアドバイスを受ける。
更に一緒に飛んだ女性のパラシュートが見えてきて「Your
frend」とそちらにもカメラを向けるようにパラシュートを
操作してくれる。また、二つのパラシュートは接近してきて隣の操縦士がこちらの羽を手で触ったりしている。
下から見ていたときには接近して怖そうに見えたが、今はそんなには思わない。全く安心して身を任せていられる。
発進地点は２０００ｍだった、どれぐらい上昇したか分からないが、発信地点よりも上昇したのは確かである。
２０分ほど飛んでいただろうか、やがてゆっくりと旋回しながら、海抜１０３７ｍの地上に降りてきた。
１０００ｍ以上も降りてきたので少し耳が痛い。着地の時は今まで身を反るように後ろに寄りかかっていた身体を
起こし、足の着地と共に少し走った。着地してみると、自分の肩に力が入っていたのが分るくらいに肩の重みが身体
にのしかかってきた。
でも、何とも感動的な体験であった。日本にいる時は一度も考えもしなかったが、アルプスの空と山々が与えてくれ
た貴重な経験だった。
